紛争(裁判)・税務の局面で著作権の価値評価を行うのは士業の方々であると考えられます。紛争(裁判)の場合、鑑定人の選任は裁判所が行います。また、損害賠償額等の算定という場合も、弁護士等の資格を有する方々が行うのが一般的です。税務処理の場合にも、同様のことが一般的と考えられます。
紛争(裁判)において価値評価が必要になる局面としては、損害賠償請求および不当利得返還請求における算定が典型例とされます。ただ、この算定額については、実態やニーズが反映されておらず、低い金額になる傾向があるとの指摘があります。外国の企業の中には、日本では裁判を提起しないという選択をする企業もあるといいます。その理由は、得られる賠償額が低額であるため、費用対効果の面でそぐわないからだと聞きます。こうした状態が続くと、著作権の価値の低下を招くことになります。当然ながら、ビジネスの実態等がきちんと反映された適正な評価がなされる必要があるわけです。
税務処理において価値評価が必要になる局面としては、相続を身近に起こり得る例として挙げることができます。無体財産権の評価方法として、「国税庁方式」と呼ばれる相続税の課税価値計算の算式が定められています。著作権の場合には、以下の計算式が用いられるものとされています。
年平均印税収入の額 x 0.5 x 評価倍率
(「国税庁における財産評価基本通達」より)
ところが、この「国税庁方式」も問題点を指摘されています。予想利益を還元して価値評価を行うことになっていない、危険率(50%)が過度であるなど、著作権個々の実態を反映するものではないとする批判的な意見もあります。
また、著作権の「適正な価値評価」が求められる局面は他にもあります。
- 現物出資による会社設立の際の評価
- 売買または実施料の評価
- 相続、会社分割等、一般承継の際の評価
- 民事再生法に基づく評価
以上の他にも様々な場面が想定されます。
税務処理は、「財産時価取引課税」が原則です。価値を不当に安く見積もったり、高く見積もったりしている取引は、税法上の不適正取引と見なされる可能性があります。紛争(裁判)における価値評価と同様、適正な評価がなされる必要があります。
(Blau=Baum)
